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はじめに

Sympa は、電子メールのメーリングリストを管理するためのシステムです。読者登録、吟味、投稿保管庫、共有文書の管理といったリスト運営の機能を自動化するのに用います。さらに、通常ならちょっとした量になる作業 (リストのオーナーにとっては時間と手間のかかる作業) が必要になるようなことがらについての管理機能もそなえています。このような機能としては、読者登録更改の自動管理、リストのメンテナンス、その他があります。

Sympa では、多くの異なった種類のリストを運営できます。ウェブインタフェースをそなえていて、運営に限らずリストの機能を操作できます。また、個々のリストに対して、その振る舞い (たとえば送信者認証、吟味のプロセスなど) について詳細に決定することができます。 Sympa では、個々のリストの個々の振る舞いはもちろん、誰が特定の操作を実行する権限を持つか、さらにはそのとき利用する認証方式をも決定できます。現時点では、認証は SMTP の From ヘッダ、パスワード、S/MIME署名によるものが使えます。
Sympa はまた、LDAP ディレクトリや SQL サーバから電子メールアドレスを取り出して動的にリストに加えることもできます。

Sympa はメッセージの処理を管理するだけではなく、インストールされた計算機システムの負荷を軽減するのにも役立ちます。十分なメモリがある環境なら、Sympa は巨大なリストにも適用できます。読者数が 20,000 のリストで、読者の 95 パーセントにメッセージを送出するのにかかる時間は 6 分以内でした (ネットワーク接続が有効だと仮定した場合。クロック 300 MHz、メモリ 256 MB、CPU が i386 の Linux サーバで検証しました)。

この手引きでは、現行のリリース (5.4) の sympa に関するインストールと設定について説明しています。

利用許諾

Sympa はフリーソフトウェアです。当ソフトウェアは、『GNU 一般公衆利用許諾契約書』第2版の条項に則って配布することができます。

著作権告知および関連する免責事項をそのまま複写している限り、ソースコードの形式での当パッケージ全体の複製物を作成したり譲り渡したりすることが制限されるべきではありません。

仕様

Sympa は、メーリングリスト管理ロボット1)がそなえているような基本的な仕様をすべてそなえています。 Sympa は、ほかのメーリングリストアプリケーションが持つ機能を持っているにとどまらず、単独のソフトウェアパッケージとしても特徴的です。次のような特徴があります:

  • 高速な配送処理 および 負荷制御Sympa では、システム管理者が計算機資源の利用量を制御できるようにします。その適応的なアルゴリズムによって:
    • 管理者の選んだ SMTP エンジン (たとえば sendmail, qmailpostfix) を利用できます。
    • SMTP の子プロセス数を調整できます。
    • 受信者ドメインごとにメッセージをグループ化できます。また、グループ化の係数を調整できます。
    • 詳細なログを提供できます。
  • 多言語 の利用者インタフェース。リストを利用する人および運営する人のためのインタフェース (メールおよびウェブによるもの) は完全に国際化されています。翻訳データは標準的な PO ファイルに集約されています。
  • テンプレート に基づくユーザインタフェース。すべてのウェブページとサービスメッセージは、TT2 テンプレート形式に沿ってカスタマイズ可能です。
  • MIME 対応Sympa では、配送処理の際に MIME を考慮するようになっており、さらにはリストのオーナーが歓迎や登録解除時その他のメッセージを複雑な MIME 構造であらかじめ決めておくこともできます。たとえば、歓迎メッセージを text/htmlaudio/x-wav :-)、その他どんなものを含んだ multipart/alternative 形式にでもすることができます (Sympa は、マルチパートメッセージ中のコマンドでも、コマンドのある text/plain パートがあれば処理することができます)。
  • 十分に制御可能な認可処理。制御された操作 (メッセージの送信、リストへの読者登録など) の権限を認可シナリオで設定できます。配布物に同梱された 20 の定義ずみシナリオ設定 (例: マルチパートのメッセージは吟味役に回送するが、その他はさらなる認証なしに配送する) に加え、リストシステム管理者が新たな認可シナリオを定義することもできます。
  • 特権的な操作はリストの吟味役とリストのオーナー (あるいはその他の利用者のカテゴリ) だけが実行できます。この特権は、リストの config ファイル、ロボットの管理者、リストシステム管理者が決定します。誰が特権を決定できるかは、/etc/sympa.conf 全体設定ファイルで決定します (リストシステム管理者の中には、特定の仮想ホストの中だけで権限を持つ者もいます)。特権的な操作には、通常の ADDDELETEREVIEW といったコマンドなどがあり、こういった操作をする際の認証はワンタイムパスワードや S/MIME 署名で行えます。
  • ウェブインタフェース : WWSympaSympa の機能に対する全般的な (運営も含む) ウェブインタフェースです。これは次の機能を提供します:
    • リストの分類。検索もできます。
    • すべての機能に対するアクセス制御。こういった機能にはリスト一覧 (これによって、WWSympa はイントラネット内でのグループウェアツールに統合しやすくなっています) などがあります。
    • 共有文書の管理 (ダウンロード、アップロード、文書ごとの特別なアクセスコントロール)。
    • ユーザごとの HTML ドキュメントで、現在の読者登録状況、投稿保管庫へのアクセス、読者の個人設定ができます。
    • リスト管理者のための管理ツール (配送エラー処理、リストパラメータの変更、投稿されたメッセージの吟味)。
    • ロボット管理者のためのツール (リスト作成、ロボット全体の設定)。詳しくは「WWSympa --- Sympa のウェブインタフェース」を参照してください。
  • RDBMS: 読者や運営に関する内部のデータ構造をデータベースに格納することができます (1.x 版との互換性のために、読者データをテキストファイルに保管することもできます)。データベースはもともと WWSympa プロジェクトで導入されました。データベースは共有データへのセキュアなアクセスを実現します。Perl のデータベース API である DBI/DBD によって、さまざまな RDBMS (MySQL, SQLite, PostgreSQL, Oracle, Sybase) との相互運用が可能です。詳しくは「Sympa のデータベース」を参照してください。
  • 仮想ホスティング: Sympa の単一のインストレーションで複数の仮想ロボットを、電子メールインタフェースとウェブインタフェースの両方について提供できます (「仮想ホスト」参照)。
  • LDAPによるメーリングリスト: 電子メールアドレスを、SQL 問い合わせを受け付けるデータベースや LDAP ディレクトリから動的に収集することができます。充分な応答性を得られるよう、Sympa はデータソースを TTL (有効期間) パラメータで制御される内部のキャッシュに保持します (include_ldap_query 参照)。
  • LDAP認証: LDAP ディレクトリに格納されたユーザ名 (uid) と電子メールアドレス (email) によって行えます。予備の電子メールアドレスを LDAP ディレクトリから取得して、読者登録を「統合」することもできます (「電子メールアドレス、ユーザID、他の電子メールアドレスによる認証」参照)。
  • ウィルススキャナ: Sympa は投入されるメッセージの添付を展開し、それに対してウィルススキャナを実行できます。現在、次のウィルススキャナで動作します: McAfee/uvscan、Fsecure/fsav、Sophos、AVP、Trend Micro/VirusWall、Clam Antivirus (「ウィルスチェック」参照)。
  • ほかのリストの読者をあるリストの読者に取り込む。これは実際に取り込むので、「リスト B をリスト A に読者登録する」といったやりかたで実現するような不細工で階層的なものではありません。
  • RSS チャンネル。
  • カスタム利用者属性: 読者登録フォームで、読者登録しようとする利用者に追加情報を要求することができます。これについては「カスタム属性」を参照してください。

プロジェクトの進捗状況

Sympa は極めて活発なプロジェクトです —「リリースノート」をご参照ください。そのため、Sympa プロジェクトの進捗状況についてのいくつもの文書を維持しておくことはもはや不可能です。プロジェクトの進捗状況については「将来の Sympa 開発」をご参照ください。

歴史

Sympa の開発は、1995 年にまったくスクラッチから始まりました。当初の目的は、TULP リスト管理ソフトウェアに替わるものを開発することでした。このソフトウェアは Sympa の最初の作者でもある Christophe Wolfhugel が一部を手がけたものです。

新しい仕様を組み込むには、TULP のコードは扱いにくいものでした。 Sympa の最初の版では、認証、コマンドによる柔軟な管理、内部データアクセスのパフォーマンス向上、メンテナンスが容易なオブジェクト指向のコーディングが盛りこまれました。

最初のマーケットリリースの製造までに、2 年近くを要しました。

その後の年表:

  • 1999年3月 データベース (MySQL) を内部で使用。外部データソース (リレーショナルデータベースか LDAP) でリスト読者を決定。
  • 1999年10月 WWsympa の安定版。認可シナリオの導入。
  • 2000年2月 ウェブ上での配送エラー管理。
  • 2000年4月 投稿保管庫の検索およびメッセージ削除。
  • 2000年5月 ウェブからのリスト作成。
  • 2001年1月 S/MIME (署名および暗号化) に対応。ウェブインタフェースからのリスト設定。リストごとの共有文書置き場。HTML のルックアンドフィールを全面的に書き換え。
  • 2001年6月 リスト作成時のエイリアス自動登録。ウィルスチェックのプラグイン。
  • 2002年1月 仮想ホスト。LDAP認証。
  • 2003年8月 配送エラーの自動管理。
  • 2003年9月 CAS および Shibboleth に基づく認証。
  • 2003年12月 Sympa SOAP サーバ。
  • 2004年8月 TT2 テンプレート形式および PO カタログ形式のための変更。
  • 2005年 HTML を XHTML と CSS に変更。RSS。リスト設定族。……
  • 2006年 UTF-8 への完全対応。
  • 2007年 リストの自動作成。
  • 2008年 ウェブインタフェイスのセッション制御、カスタム利用者属性。

メーリングリストおよびサポート

Sympa の作者たちに連絡をとりたければ、アドレス sympa-authors (at) renater.fr を使ってください。

Sympa についてのメーリングリストもいくつかあります:

  • sympa-users (at) renater.fr 一般的な情報のリスト。
  • sympa-fr (at) renater.fr フランス語話者の利用者のリスト。
  • sympa-announce (at) renater.fr Sympa に関するお知らせ。
  • sympa-dev (at) renater.fr Sympa 開発者。
  • sympa-translation (at) renater.fr Sympa 翻訳者。

リストに入るには、次のようなメッセージを sympa (at) renater.fr に送ります:

subscribe リスト名

(リスト名 をそれぞれリスト名、自分の名と姓に置き換えてください).

Sympaホームページも見てください。最新版、FAQ (英語) などがあります。


1)
本書でロボットという用語は、特定のメールアドレスに送られるメッセージを受け取って自動処理するソフトウェアのことを指します。
  • ja/manual/presentation.1426674617.txt.gz
  • Last modified: 2018/03/30 08:13
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